アトピー性皮膚炎
HA
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴って繰り返す皮膚の症状として知られていますが、その原因や症状は多岐にわたります。以下に、この病気の特徴と、どのように診断されるかについて解説します。
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は、様々な外からの刺激に対して皮膚が敏感に反応します。症状は一般に、繰り返し出現するかゆみを伴う湿疹が特徴です。この症状は、小さなお子さんから大人に至るまで幅広い年齢層に生じます。「アトピー素因」というアレルギー体質を持つ人に発症しやすいと言われています。
アトピー性皮膚炎の診断の基準
アトピー性皮膚炎の診断には、以下の三つの項目を確認します。
- 瘙痒(かゆみ): かゆみを感じることが一般的です。
- 特徴的な皮疹とその分布: 湿疹は特定のパターンで体の特定の部位に現れます。
- 慢性または反復性の経過: 症状が長期間にわたって続くか、繰り返し現れること。
この基準に基づいて、診断を行います。また、疑わしい場合は、症状の経過を考慮しながら診断を検討をしていきます。
アトピー性皮膚炎の症状の特徴
アトピー性皮膚炎における皮疹は年齢によって異なる特徴を示します:
- 乳児期: 主に顔の露出部分に乾燥や赤みが現れ始め、搔くことでさらに広がり湿疹が悪化します。
- 幼児期から学童期: 顔の症状は減少し、首周りや関節の内側など他の部位に皮疹が現れます。
- 思春期から成人期: 上半身、特に顔と首の周りに皮疹が多く見られるようになります。
アトピー性皮膚炎の治療
治療の目標
治療の最終目標は、症状のない、あるいは軽微で日常生活に支障のない状態を維持することです。具体的には、症状の軽減と急な悪化の予防を目指し、必要最小限の薬物療法で管理することを目標にしています。
治療方法の概要
アトピー性皮膚炎の治療には、以下の三つのアプローチが基本となります:
- 薬物療法:炎症を抑え、症状をコントロールします。
- スキンケア:皮膚のバリア機能を強化し、皮膚を健康な状態に保ちます。
- 悪化因子の管理:症状を悪化させる可能性のある外部刺激やアレルゲンを特定し、対策を講じます。
薬物療法
- 抗炎症外用薬:
- ステロイド外用薬:抗炎症作用が強く、広範囲に使用されています。適切な使用で安全に症状を管理できます。
- 非ステロイド外用剤::プロトピック(タクロリムス)軟膏、コレクチム(デルゴシチニブ)軟膏、モイゼルト(ジファミラスト)軟膏などがあり、ステロイド外用薬の補助・代替として用いられることがあります。
- 抗ヒスタミン薬:
- 瘙痒を抑えるために使用され、睡眠の質の改善や日中のかゆみを改善させます。
- その他の薬剤:
- デュピルマブ:重症のアトピー性皮膚炎で使用される注射薬で、特定のサイトカインの活動を阻害し、炎症反応を抑制します。
- JAK阻害薬:新しいタイプの飲み薬の抗炎症薬で、重症のアトピー性皮膚炎で使用されます。
- 漢方薬:症状の緩和や体質改善に役立つことがあります。
スキンケア
日常のスキンケアはアトピー性皮膚炎の管理において非常に重要です。乾燥した肌を保湿し、保護することで外部刺激から守り、症状の悪化を防ぎます。入浴後の保湿は特に効果的で、適切な保湿剤を使用して肌の水分を保つことが推奨されます。
悪化因子の管理
日常生活で遭遇する様々な刺激がアトピー性皮膚炎を悪化させることがあります。これには、衣類との摩擦、化粧品、洗剤、食物アレルゲンなどが含まれます。これらの因子を特定し、避けることで症状の管理が向上します。
参考文献
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021